離婚問題用語集

離婚に関する用語を、弁護士が分かりやすく解説します。

代理人許可申請地方裁判所調停調停委員調停期日呼出状調停前置主義調停調書調停調書謄本調停前の仮の措置調停離婚陳述陳述書手続代理人答弁書ドメスティックバイオレンス

代理人許可申請(だいりにんきょかしんせい)

審判や調停で、弁護士以外が代理人になる場合は、許可が必要です。弁護士以外の法律専門職(行政書士、司法書士等)がこの代理人になることは通常、弁護士法違反になりますから、この許可の対象外です。ただし、基本的に本人が出頭しなければならいないので代理人選任の実益は少ないです。身内が何らかの形で協力したいという場合に利用されることがあります。

地方裁判所(ちほうさいばんしょ)

裁判所のひとつです。離婚関係はたいてい家庭裁判所で扱いますが、離婚した後に離婚慰謝料を請求する場合、浮気相手に慰謝料を請求する場合、配偶者の実家への貸付金を請求する場合等は、家庭の事件とは関係ない一般事件という扱いになって地方裁判所で行うことになります。

調停(ちょうてい)

裁判所での話し合いのことです。家庭裁判所での家事調停と、簡易裁判所での民事調停があります。家庭のことは、すぐに訴訟はせずにまずは家事調停をしなさいというルールがあります。つまり、家庭の問題は、法律法律と騒ぐ前にまず話し合いなさいと法律自身が定めています。離婚関係では、離婚するしないの問題だけでなく婚姻費用、面会交流、養育費変更、親権変更等様々な場面で家事調停が行われます。

調停委員(ちょうていいいん)

調停は審判官1名と調停委員2名(男女各1名)以上で構成されています。 通常は、調停委員が調停を取り仕切ります。立派な識見と経験がある人が調停委員になっていることは確かです。でも、世の中完璧な人はいません。とても優れた人もマレです。そんな人が、たまたまあなたの調停を担当してくれる可能性も低いです。真剣に話し合いをまとめようとしてくれますが、法律上おかしなことを言ったり、一方に肩入れしたり 無理矢理話をまとめようとしたりすることもあります。調停委員と信頼関係が築けないようでしたら、調停を弁護士に依頼するのも手です。

調停期日呼出状(ちょうていきじつよびだしじょう)

通称「期日通知書」です。調停が申し立てられて「○年○月○日○時○分に裁判所に来てください」という内容です。都合が悪い場合は、そこに記載されている裁判所に連絡すると次回は都合の良い日程を調整してくれます。初回に出ないからといって不利益はありません。でも、無視し続けると、相手が訴訟を起こす可能性があるので解決コストはかえって高くつくかもしれません。

調停前置主義(ちょうていぜんちしゅぎ)

いきなり裁判せずまずは調停をしなさいという決まりのことです。家族間のもめごとは形式的な法律により一刀両断にするよりも話し合いによる柔軟な解決が望ましいという考えによります。ただ調停は、本人が必ず出席しなければならず、しかも平日に行われるので、普通に勤務している人にとっては迷惑なこともあります。訴訟であれば、大半の手続は弁護士だけですみますので人によっては、調停するよりいきなり訴訟をしてしまいたい、と思われる方もいるかもしれません。

調停調書(ちょうていちょうしょ)

司法関係の役所がつくる書類は「調書」という名称が多いです。口頭弁論調書とか、実況見分調書とか・・・。調停調書は、調停で話し合いで決めた内容が記載されます。一種の契約書のようなものです。はんこは押しません。調停調書は判決と同じ強い効力がありますので、この書面と別に離婚協議書や公正証書を作る必要はありません。

調停調書謄本(ちょうていちょうしょとうほん)

謄本というのは、原本のコピーという意味です。調停調書の原本は裁判所にあるので、そのコピーが謄本です。ただ、どんなコピーでも謄本ではなくて裁判所が「これが謄本です」と印を押してくれものを特に謄本と言います。調停をとおして離婚が成立し、役所に離婚届を提出する際にはこの調停調書の謄本が必要になります。

調停前の仮の措置(ちょうていまえのかりのそち)

調停が成立するには時間がかかるので、それまでの暫定的な措置を裁判所に決めてもらうものです。ただ強制執行ができないので相手がわがままな場合は、あまり期待しない方がよいでしょう。婚姻費用等の場合は、調停でなく審判を申し立てて審判前の保全処分をしたほうがよいでしょう。

調停離婚(ちょうていりこん)

家庭裁判所の調停手続の中で成立する離婚です。

陳述(ちんじゅつ)

要は「言う」「述べる」という意味です。裁判ではよく出てくる言葉です。裁判の場では、本当は口で主張を言い合うのが建前ですが実際には、事前に「準備書面」という書面を提出しておいて裁判では「陳述します」と言うことで、自分のすべての主張をしたことになる、という方法をとることが多いです。ちなみに本人尋問の前には「陳述書」という書面に離婚に至るだいたいの経緯を書いて提出します。

陳述書(ちんじゅつしょ)

本人尋問や証人尋問は時間が限られており、またスムーズに話が聞けるとも限らないので、あまり重要でない周辺的な事情や日付や数字等の細かな事項については、事前に「陳述書」という書面にして、裁判所に提出します。

手続代理人(てつづきだいりにん)

訴訟になると弁護士は、訴訟代理人として活動します。では、訴訟ではない調停や審判は、何代理人と呼ぶか?以前は名無しのような感じで、適宜申立人代理人とか相手方代理人とか呼んでいましたが、手続代理人というのが正式名称になりました。

答弁書(とうべんしょ)

訴状に対する回答を書く書面です。通常の裁判では、答弁書も出さず、裁判にも出席しないと原告の言い分通りの判決がすぐ出かねませんが離婚訴訟では、そこまで強烈ではありません。しかし放置していれば、いずれは相手の言い分通りになりますのでしっかり対処しましょう。

ドメスティックバイオレンス(どめすてぃっくばいおれんす)

略して「DV」と表記することもあります。少し前までは、夫婦間の多少の暴力沙汰は当たり前のこととされて、夫または妻からかなりひどい怪我を負わされても警察が相手にしてくれなかったこともありました。しかし今は「家庭内といっても暴力は犯罪である。毅然とした対処が必要だ。」ということで、DV法が制定されるなど、警察の対応も全く変わりました。ひどい家庭内暴力を受けたときは、しっかり警察に相談してみましょう。(DV法の構造上、弁護士より先に警察に相談した方が手続がスムーズです。)しかし反面で、たいした暴力もないのに「DVだ!」と騒いで、離婚を有利に運ぼうとする人もいます。不本意にもDV夫にされてしまった人は、弁護士に相談して汚名を雪ぎましょう。