離婚問題用語集
離婚に関する用語を、弁護士が分かりやすく解説します。
家事審判官/家庭裁判所/協議離婚/強制執行/共同親権/居所指定権/原告/原告本人尋問/公正証書/控訴・控訴審/口頭弁論期日/口頭弁論期日呼出状/言葉の暴力/婚姻費用
家事審判官(かじしんぱんかん)
裁判官のことです。調停や審判の時は、審判官という役割を果たします。
家庭裁判所(かていさいばんしょ)
裁判所のひとつです。文字通り、離婚や相続等の家庭の問題を扱う裁判所です。家庭裁判所の手続きには、訴訟のほか、調停や審判もあります。また、刑事関係では、少年の事件も家庭裁判所が扱います。
協議離婚(きょうぎりこん)
裁判所を利用せずに夫婦の話し合いで成立する離婚のことです。夫婦間でもめなければ、協議離婚で終わります。もめても、何とか話が付けば協議離婚で終わります。離婚に伴う諸条件は後で決めることにして協議離婚届だけ提出してしまうこともできます。
◆協議離婚についてもっと詳しく強制執行(きょうせいしっこう)
相手が約束を守らない場合に、裁判所の助力で強制的に約束を守らせる方法です。お金を支払う約束については、相手の給料を差し押さえたり、相手の持つ不動産を競売にかけたりできます。子どもを引き渡す約束については、執行官(強制執行を行う裁判所の職員)から相手に対して子どもの引渡しを求めてもらうことができます。
共同親権(きょうどうしんけん)
子どもの父親と母親が子どもの親権を持つことです。父母の婚姻中は共同親権です。
居所指定権(きょしょしていけん)
子どもの住む場所を決める権利で、親権者の権利のひとつです。この権利に基づいて、親権者の自分と一緒に住むということになります。
原告(げんこく)
訴訟を起こした側、つまり訴えた側です。
原告本人尋問(げんこくほんにんじんもん)
訴訟手続きの中で、原告の言い分を直接裁判官に訴える機会です。まず、原告の弁護士が質問し、次に被告の弁護士が質問し、最後に裁判官が質問することが多いです。この手続も、弁護士を依頼せずに自分で裁判すると、自分の味方になって自分に質問してくれる人がいないので、やりづらいです。また、尋問以前にいい加減なことを言っていると、ここで相手の弁護士に嘘を暴かれる可能性があります。
公正証書(こうせいしょうしょ)
公証役場で公証人が作る文書です。強制執行できる文書ができるので、慰謝料が分割払いの時や養育費の取り決めをするときは、公正証書が確実です。しかし強制執行は相手の収入財産が把握できなくては絵に描いた餅です。相手が仕事を辞めそうもない人の場合は公正証書は有効な手段ですが、転職を繰り返したり、定職につかないような人の場合は公正証書を作成する意味があるかどうかは疑問が残ります。
控訴・控訴審(こうそ・こうそしん)
家庭裁判所の離婚判決に不服な場合は控訴ができます。控訴は、高等裁判所で行われます。
口頭弁論期日(こうとうべんろんきじつ)
裁判が開かれる日のことです。ほかに、弁論準備期日や和解期日がなどがあります。単に「弁論」と言ったりもします。口頭というのは口で言うという意味です。ですから、本当は口でワーワー主張し合う裁判のことですが、日本の弁護士はシャイなせいか、そういうことはあまりありません。自分の主張したいことを事前に書面にまとめて提出しておき、裁判では「陳述します」と言うことで、自分のすべての主張をしたことになる、という方法をとることが多いです。
口頭弁論期日呼出状(こうとうべんろんきじつよびだしじょう)
離婚訴訟が提起されると、相手方(被告)に届く書面です。「○年○月○日○時○分に裁判所に来てください」という内容です。口頭弁論当日は、出席するか、出席できないのであれば答弁書を出しておいた方がよいです。いずれにしろ、これが来たら、依頼するかどうかは別として、弁護士に相談したほうがよいでしょう。
言葉の暴力(ことばのぼうりょく)
要は、面と向かって悪口を言うことです。言われた方は不愉快ですね。世の中が平和で安全になるにつれて、人がどんどんデリケートになっていき、”不愉快”も法的問題になりえます。言葉の暴力の応酬になった場合は女性と男性どちらが強いんでしょうかね。そのうち「においの暴力」(→加齢臭が耐えられない!)とか「顔の暴力」(→その顔を毎日見るのは耐えられない!)とか出てくるかもしれません。言葉の暴力が離婚事由や慰謝料と認められるかというと、裁判官次第、程度次第ということでしょう。離婚事由として認められるということは、離婚破綻事由と概ね表裏一体です。ということは、相手の言葉の暴力がひどいからといって浮気した場合、悪いのは言葉の暴力をした方と言うことになります。しかし、今のところは裁判ではまだそういうところまでは行っていないと思われます。
婚姻費用(こんいんひよう)
別居中の妻子の生活費のことをいいます。妻側は、別居になって生活費がもらえそうもなければ早急に婚姻費用を請求し、調停までするのが上策です。夫側は、基本的に支払う義務がありますが、別居の原因が妻にあることが明らかであるにもかかわらず妻が勝手に出て行ってしまったような場合には、少なくとも妻分の生活費は払わないという理屈もあります。
婚姻費用についてはこちらでも解説しています。