【弁護士に聞く!】親権って何? どうやって決めるの? Q&A

「離婚で一番モメそう…親権だけは譲れない!」
「『親権』って、具体的に何をする権利?」
「母親が有利ってホント? 子どもの名字は?」

離婚と子どもの問題。「親権者が決まらないと離婚できない」と知ったCさん。
今回は、その「親権」の具体的な中身や、どうやって決めるのか、そして離れて暮らす親との関係について、T弁護士に詳しく聞いてみます。

弁護士大倉りえ
この記事を監修した弁護士

弁護士 大倉りえ

大阪事務所所長。
10年以上の経験を活かし、話しやすい雰囲気で丁寧にお話を伺い、納得の解決へ導きます。

登場人物
  • Bさん Bさん:
    子どものことが最優先。親権の「リアル」が知りたい。
  • 弁護士 T弁護士:
    法律のプロ。「子どもの利益」を最優先に考える裁判所の視点を解説する。

Q1. 「親権者」になると、具体的に何をするんですか?

Cさん

先生、「親権」って言いますけど、具体的には何ができる権利なんですか? 子どもを引き取って育てる権利ってだけですか?

弁護士

親権は、大きく2つの権利と義務に分かれています。

身上監護権(しんじょうかんごけん)
これがCさんのイメージする「子どもを引き取って育てる」権利義務です。子どもの世話や教育をしたり、住む場所を決めたりします。
財産管理権(ざいさんかんりけん)
子ども名義の財産(お年玉で貯めた預金など)を管理したり、子どもに代わって契約(法定代理人)をしたりする権利です。
Cさん

なるほど、育てることと、財産管理の2つなんですね。

Q2. ズバリ、親権はどうやって決まるんですか? 母親が有利ってホント?

Cさん

一番聞きたいんですが、どうやったら親権が取れますか? 「母親が有利」って聞きますけど…。

弁護士

それは半分ホントで、半分誤解です。

Cさん

え、どういうことですか?

弁護士

確かに昔は「母性優先」とされたこともありました。しかし、現在の裁判実務で重視されるのは、性別ではなく「監護の継続性」、つまり「これまで主にどちらが子どもの世話をしてきたか」という事実です。

Cさん

監護の継続性…?

弁護士

はい。裁判所は、子どもの生活環境をできるだけ変えないこと(子どもの安定性)を重視します。特に子どもが幼い場合、「主たる監護者(主に子どもの世話をしてきた親)」が親権者に指定される傾向が強いです。

Cさん

なるほど…。

弁護士

日本では、まだ女性(母親)が主に子どもの世話を担っているご家庭が多いですよね。その結果として、母親が親権者になることが多い、というのが実情です。

Q3. 離婚したら、子どもの「名字(姓)」はどうなりますか?

Cさん

例えば、結婚のときに名字を変えた側が親権者になったとします。離婚して旧姓に戻ったり、あるいは結婚中の姓で新しい戸籍を作ったりした場合、子どもの名字も自動的にその親権者と同じになるんですか?

弁護士

いいえ、自動的にはなりません。

Cさん

ええー!?

弁護士

少しややこしいのですが、戸籍の仕組みが関係しています。 例えば、戸籍の筆頭者が相手(例:夫)だった場合、離婚するとCさん(例:妻)はその戸籍から抜けます。 しかし、親権者がCさん(妻)になっても、子どもは元の戸籍(夫の戸籍)に残ったままですし、姓も元の(夫の)姓のままなんです。

Cさん

じゃあ、親子なのに名字が違う!?

弁護士

そうなります。子どもを親権者と同じ姓にし、同じ戸籍に入れるためには、親権者が家庭裁判所に「子の氏(うじ)の変更許可の申立て」をして、許可をもらう必要があります。

Q4. 一度決めた親権者って、後から変更できるんですか?

Cさん

もし、相手が親権者になったとして…。後から「やっぱり私に!」って変更できますか?

弁護士

はい、可能性はあります。
親権者を変更したい場合は、家庭裁判所に調停または審判を申し立てます。

Cさん

その時も「子どもの利益」で判断するんですか?

弁護士

その通りです。子どもの健康面や環境面、愛情、年齢などを考慮しますし、子どもが満15歳以上の場合は、裁判所は子どもの意見を聞かなければなりません。

Q5. もし、親権者が亡くなったら、自動的にもう一方が親権者になりますか?

Cさん

(小声で)不謹慎ですが、もし相手が親権者になって、その相手が亡くなったら…私が自動的に親権者に戻りますよね?

弁護士

いいえ、自動的にはなりません。

Cさん

また違うんですか!?

弁護士

はい。その場合、「未成年後見人」が選ばれることになります。もしCさんが「自分が次の親権者になりたい」と希望する場合は、家庭裁判所に「親権者変更の申立て」をする必要があります。

Q6. 「親権」は譲っても、「子どもを引き取る」方法があるって本当ですか?

Cさん

うーん、親権でモメて離婚できないのが一番困るんですが…。
「親権は相手に譲るけど、子どもは私が育てる」なんて、そんなウマい話ありますか?

弁護士

Cさん、よく勉強してますね。それが「監護権者(かんごけんじゃ)」を分ける、という方法です。

Cさん

カンゴケンシャ?

弁護士

はい。Q1で話した親権のうち、「財産管理権(=親権者)」と「身上監護権(=監護権者)」を、父と母で別々に持つことも可能です。
つまり、親権者は相手(父)だけど、実際に子どもを引き取って育てるのはCさん(母)という形です。ただ、通常は親権者が両方を持つのが一般的なので、分ける場合はしっかり取り決める必要があります。

Q7.親権者になれなかった親には、何の権利も残らないんですか?

Cさん

もし私が子どもを引き取れなかったら…もう「親」じゃなくなっちゃうんでしょうか…?

弁護士

そんなことはありません。
親権・監護権がなくても、親子であることに変わりはありません。
ですから、

  • 扶養義務(養育費を支払う義務、または受け取る権利)
  • 面会交流権
  • 相続権(親が亡くなれば子どもが、子が亡くなれば親が相続する権利)

これらはなくなりません。

Cさん

よかった。子どもにも会えるんですね。

弁護士

はい、それが「面会交流権(めんかいこうりゅうけん)」です。

親権でお悩みですか?

  • 「親権と監護権、どちらを取るべき?」
  • 「子どもの名字を、どうやって変更するの?」

親権は、離婚条件の中でも最も感情的になりやすく、複雑な問題です。
大人の事情だけでなく、お子様の年齢や意思、将来の環境を第一に考え、何が最善かを冷静に判断する必要があります。

どう決めればよいか迷ったら、すぐに弁護士にご相談ください。

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