【弁護士に聞く!】離婚の「理由」って? Q&Aでスッキリ解決!
「『性格の不一致』じゃ離婚できないってホント?」
「裁判で勝つには、どんな理由が必要なの?」
「もし…原因がこっちにあったらどうなるの?」
離婚の3つのルートは分かったけれど、次にCさんが気になったのは「離婚の理由」。
「なんとなくイヤ」でも離婚できるのか? T弁護士に、離婚と「理由」のシビアな関係について聞いてみました。
Bさん:
調停が不成立になり、いよいよ「裁判」と聞いてパニック寸前。T弁護士:
法律のプロ。調停と裁判の「決定的な違い」を冷静に解説する。
Q1. 離婚するのに「理由」っていりますか?「性格の不一致」じゃダメ?
先生、そもそもなんですが、離婚の理由って「性格の不一致」じゃダメなんですか?
Cさん、とても良い質問です。実は、どの離婚ルートを選ぶかで、「理由」の重要度がまったく変わってくるんですよ。
え、どういうことです?
「協議離婚」や「調停離婚」は、基本どんな理由でもOKです。
え、そうなんですか!?
はい。あれらは「話し合い」ですからね。理由が「性格の不一致」だろうと「相手の食べ方がイヤ」だろうと、最終的にお互いが「離婚します」と合意さえすれば、理由は問われません。
Q2. じゃあ、裁判でも「性格の不一致」で戦えるんですか?
よかった! じゃあ、調停がダメで裁判(訴訟)になっても、「性格が合わないんです!」って裁判官に訴えればいいんですね!
いえ、それは通用しません。
ええー!?
裁判所が「判決」で離婚を命じる(=相手がイヤだと言っても強制的に離婚させる)には、法律で定められた離婚の理由(「法定離婚事由」)が必要なんです。
Q3. 「法定離婚事由」って、何ですか?
ほうていりこんじゆう…?
民法で定められた、裁判で離婚が認められる5つの理由です。
- 不貞行為(ふていこうい)
- 悪意の遺棄(あくいのいき)(生活費を渡さない、など)
- 3年以上の生死不明
- 回復の見込みのない強度の精神病(※これは法改正で近々削除されます)
- その他婚姻を継続しがたい重大な事由
うわあ、難しい言葉ばっかり…。
そうですよね。実際の裁判は、もう少し分かりやすく、以下の4つの枠組みで捉えることができます。
- 不貞行為(浮気・不倫)
- 暴力(DV・モラハラ含む)
- 長期の別居
- その他の離婚事由
Q4. 「不貞行為」や「暴力」は分かりやすいですが…
浮気や暴力、あとは長期間の別居があれば、裁判でも離婚が認められやすいんですね。
その通りです。これらは証拠があれば、離婚判決が出やすい典型的な理由です。
私が言ってた「性格の不一致」とか、「借金」とか「飲酒癖」、「セックスレス」なんかは、どこに入るんですか?
それらはすべて「4. その他の離婚事由」として扱われます。
でも、これら単体だと、「法定離婚事由」としては弱いことが多いんです。
じゃあ、やっぱり「性格の不一致」だけじゃ裁判では勝てない…?
可能性は低くなります。ただ、「性格の不一致」に加えて、「浪費がひどい」「家族(嫁姑問題)と協力しない」など、色々な事情が積み重なり、さらに別居期間も長くなっている…となれば、総合的に「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」だね、と認めてもらえる可能性が出てきます。
Q5. 浮気が法定離婚事由になるなら、こちらが浮気すればいいんですか?
浮気は法定離婚事由になるんですよね?
はい、その通りです。
じゃあ、こちらが浮気(不貞行為)をすれば、それを理由に離婚できるんじゃ…?
ほう。Cさん、それは「有責配偶者(ゆうせきはいぐうしゃ)」からの離婚請求という問題になります。
ユウセキ…?
自ら離婚の原因を作った側のことです。その有責配偶者が「離婚したい!」と裁判を起こしたらどうなるか、ということですね。
はい、どうなんです?
結論から言うと、原則として認められません。
法定離婚事由があるのに?
はい。自分で離婚原因を作っておきながら、「法律上の離婚理由があるから離婚させろ!」と裁判所に言うのは、さすがに身勝手だよね、と判断されるんです。
じゃあ、原因を作った側は、相手が「絶対離婚しない」って言ったら、もう一生離婚できないんですか?
「原則」といったのは、例外があるからです。例えば、
- 夫婦の別居が非常に長期間(目安として10年近く)に及んでいる
- 未成熟の子ども(幼い子)がいない
- 離婚によって相手(原因を作られていない側)が精神的・社会的に過酷な状況にならない
といった条件が揃えば、有責配偶者からの離婚請求も認められることがあります。ただ、ハードルは非常に高いですね。
離婚の「理由」でお悩みですか?
- 「相手の浮気(不貞)の証拠がない…」
- 「DVやモラハラを『重大な事由』として認めてもらえる?」
- 「自分にも非がある場合、どう進めればいい?」
離婚の理由は、ご夫婦の数だけ存在します。
その理由が、調停で有利に働くのか、裁判で「法定離婚事由」として認められるのか、専門的な判断が必要です。
ご自身のケースがどうなるのか、一人で悩まず、まずは弁護士にご相談ください。
