【弁護士に聞く!】「浪費」「借金」「働かない」…生活破綻で離婚できますか?
「浮気や暴力じゃない。でも、お金と生活態度が…」
「生活費を使い込む!」
「借金がある…お酒も飲みすぎる…働かない!」
「性格の不一致」や「セックスレス」以外にも、Cさんには現実的な悩みが。
「お金」や「お酒」、そして「労働意欲」の問題は、どこまで法的な離婚理由として通用するのでしょうか? T弁護士に、生活に密着した悩みをぶつけてみます。
Bさん:
お金や生活態度の問題に日々悩まされている。T弁護士:
法律のプロ。それらの問題が「婚姻破綻」にどう結びつくかを解説する。
Q1. 「浪費」「借金」「飲酒」、これって離婚理由になりますか?
先生、うちの相手、浮気とかじゃないんですけど…とにかくお金遣いが荒い(浪費)し、借金もあるみたいだし、お酒も飲みすぎるし…! こういうのって、法定離婚事由になるんですか?
Cさん、それらは生活に直結する深刻な問題ですね。
まず知っておいてほしいのは、そのどれもが「直接の」法定離婚事由ではない、ということです。
え!? 借金まみれでもダメなんですか?
はい。「浮気(不貞行為)」のように、それ自体が即離婚理由とはなりません。
しかし、それらの状況が原因で「婚姻を継続しがたい重大な事由」(法定離婚事由の5番目)が生じている、と認められれば、離婚理由になります。
「認められれば」…ですか。
はい。要は「程度問題」なんです。一つずつ見ていきましょうか。
Q2. 「浪費癖」は、どの程度から離婚理由になりますか?
「浪費」って言っても、ちょっとブランド品が好き、とかじゃダメですよね?
その通りです。単なる趣味の範囲では難しいですね。
ですが、相手の過度な浪費によって夫婦関係(生活)が破綻するようなことがあれば、話は別です。
破綻…というと?
例えば、
- 生活費を勝手に使い果たしてしまう
- 子どものための貯金まで勝手に使われてしまった
- 家計が赤字なのに、高額な買い物をやめない
こういったレベルになれば、「婚姻を継続しがたい重大な理由」として認められる可能性が出てきます。
Q3. 「借金」があるだけじゃダメなんですか?
相手に「借金がある」って分かったんです。これだけじゃ離婚できませんか?
残念ながら、「相手に借金がある」というだけでは、離婚理由としては弱いです。
がーん…。
しかし、その借金がきっかけで夫婦関係が破綻すれば別です。
- 相手がギャンブル等のために借金を何度も繰り返し、生活費がなくなってしまう
- 厳しい取り立てが家に来て、平穏な生活が送れない
- 返済で大変なのに、相手は相変わらずギャンブルを繰り返している
このような状況になれば、「婚姻を継続しがたい重大な理由」に該当する可能性があります。
Q4. (重要)もし、私が「連帯保証人」になっていたら?
先生! そういえば、昔「連帯保証人」の書類にサインしたかも…。離婚したら、それもチャラになりますよね!?
Cさん、それは非常に危険です!
離婚をしたからといって、連帯保証人ではなくなる、ということはありません。
ええー!?
連帯保証人から外すかどうかは、お金を貸した側(金融機関など)の判断です。金融機関に交渉しても、代わりの保証人を立てるなどしない限り、外してもらえる可能性は低いと言わざるを得ません。
じゃあ、離婚しても、相手が返済をやめたら私に…?
はい。万が一、Cさんのところに督促が届いたら、Cさんが返済しなければなりません。これは離婚とは別の重要な問題です。
Q5. 「お酒の飲みすぎ(飲酒)」はどうですか?
あと、お酒です。とにかく飲む量が多くて…。
これも「浪費」や「借金」と同じ考え方です。
ただお酒が好きなだけでは理由になりませんが、その過度の飲酒によって夫婦関係が破綻していれば、離婚理由になります。
例えば、どういう状況ですか?
- 酔った相手が暴力をふるう(DV)
- 働かずに酒ばかり飲んで、生活費を入れてくれない(悪意の遺棄)
- アルコール依存症で、家庭生活が成り立たない
こうなると、飲酒が原因の「重大な事由」として認められる可能性が高くなります。
Q6. そもそも「相手が働きません」。離婚できますか?
浪費以前に、そもそも相手が働かないんです! これって離婚理由になりますか?
それも状況に応じて可能です。
まず、病気やケガで「働きたくても働けない」という場合は、すぐに離婚理由とするのは難しいです。
そうではなくて、健康なのに、働く能力もあるのに、ゴロゴロしてるんです!
その場合、つまり働く意欲がないために「あえて」働かないという場合は、違います。
それは、夫婦の協力・扶助義務に違反する「悪意の遺棄(あくいのいき)」や、「婚姻を継続しがたい重大な事由」にあたるとして、離婚が認められる可能性があります。
よかった!
ただ、一点だけ注意が必要です。夫婦にはお互いに扶助義務がありますよね。
扶助義務…?
事情によっては、「今は相手が働けない(あるいは意欲がない)のだから、あなたが働いて、扶養義務を果たすべきでは?」という考え方(反論)も、裁判所ではあり得ます。Cさんご自身の状況(働けるか、収入は等)も関係してくる問題ですね。
お金や生活態度の問題、ご相談ください
- 「この浪費癖は、もう『破綻』レベル?」
- 「相手の借金のせいで、生活が苦しい…」
- 「連帯保証人から抜けたい!」
- 「健康なのに働かない相手と、どうすれば離婚できる?」
お金や労働の問題は、「それくらい我慢しろ」と片付けられがちですが、生活を破壊するほどの「重大な事由」になり得ます。
どこからが法的な離婚理由になるのか、そのボーダーラインを見極めるのは難しいものです。
一人で抱え込まず、弁護士に具体的な状況を相談してみてください。
