【弁護士に聞く!】親権って何? どうやって決めるの? Q&A
「離婚で一番モメそう…親権だけは譲れない!」
「『親権』って、具体的に何をする権利?」
「母親が有利ってホント? 子どもの名字は?」
「離婚時には親権者を決めないといけない」と知ったDさん。
今回は、その「親権」の具体的な中身や、どうやって決めるのか、そして離れて暮らす親との関係について、Y弁護士に詳しく聞いてみます。
※令和8年からの「共同親権」について知りたい方へ
この記事では、親権の基礎知識を解説しています。 話題の法改正(共同親権)については、以下の別記事で詳しく解説しています。
▶ 【令和8年施行】「共同親権」で何が変わる? 私たちにも影響ある?
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Dさん:
子どものことが最優先。親権の「リアル」が知りたい。 -
Y弁護士:
法律のプロ。「子どもの利益」を最優先に考える裁判所の視点を解説する。
Q1. 「親権者」になると、具体的に何をするんですか?
先生、「親権」って言いますけど、具体的には何ができる権利なんですか? 子どもを引き取って育てる権利ってだけですか?
親権は、大きく2つの権利と義務に分かれています。
- 身上監護権(しんじょうかんごけん)
- これがDさんのイメージする「子どもを引き取って育てる」権利義務です。子どもの世話や教育をしたり、住む場所を決めたりします。
- 財産管理権(ざいさんかんりけん)
- 子ども名義の財産(お年玉で貯めた預金など)を管理したり、子どもに代わって契約(法定代理人)をしたりする権利です。
なるほど、育てることと、財産管理の2つなんですね。
Q2. ズバリ、親権はどうやって決まるんですか? 母親が有利ってホント?
一番聞きたいんですが、どうやったら親権が取れますか? 「母親が有利」って聞きますけど…。
それは半分ホントで、半分誤解です。
え、どういうことですか?
確かに昔は「母性優先」とされたこともありました。しかし、現在の裁判実務で重視されるのは、性別ではなく「 監護の継続性 」、つまり「これまで主にどちらが子どもの世話をしてきたか」という事実です。
監護の継続性…?
はい。裁判所は、子どもの生活環境をできるだけ変えないこと(子どもの安定性)を重視します。特に子どもが幼い場合、「 主たる監護者(主に子どもの世話をしてきた親) 」が親権者に指定される傾向が強いです。
なるほど…。日本では、まだ母親が主に子どもの世話を担っている家庭が多いから、結果的に母親になることが多いんですね。
その通りです。ただ、これはあくまで「裁判所が決める場合」の話。
最優先されるのは 「夫婦間の話し合い(協議)」
です。お二人が納得さえすれば、父でも母でも、どちらが親権者になっても問題ありません。
現在の法律では、「親権者をどちらか一人に決めないと、離婚届が受理されない(=離婚できない)」というルールです。しかし、改正法ではここが大きく変わります。
- 1.「共同親権」を選べば離婚届が出せる
- 話し合いで「共同親権」に合意すれば、どちらか一人に絞らなくても離婚届を提出できるようになります。
- 2.親権が決まっていなくても、調停などを申し立てていれば離婚届が出せる
- これまでは親権が決まるまで離婚届は受理されませんでした。しかし改正後は、「親権者を決めるための話し合い(調停・審判)を裁判所に申し立てている」という状態であれば、親権が決着する前でも離婚届が受理されるようになります。
Q3. 離婚したら、子どもの「名字(姓)」はどうなりますか?
例えば、結婚のときに名字を変えた側が親権者になったとします。離婚して旧姓に戻ったり、あるいは結婚中の姓で新しい戸籍を作ったりした場合、子どもの名字も自動的にその親権者と同じになるんですか?
いいえ、自動的にはなりません。
ええー!?
少しややこしいのですが、戸籍の仕組みが関係しています。例えば、戸籍の筆頭者が相手(例:夫)だった場合、離婚するとCさん(例:妻)はその戸籍から抜けます。 しかし、親権者がDさん(妻)になっても、子どもは元の戸籍(夫の戸籍)に残ったままですし、姓も元の(夫の)姓のままなんです。
じゃあ、親子なのに名字が違う!?
そうなります。子どもを親権者と同じ姓にし、同じ戸籍に入れるためには、親権者が家庭裁判所に「 子の氏(うじ)の変更許可の申立て 」をして、許可をもらう必要があります。
Q4. 一度決めた親権者って、後から変更できるんですか?
もし、相手が親権者になったとして…。後から「やっぱり私に!」って変更できますか?
はい、可能性はあります。
親権者を変更したい場合は、家庭裁判所に調停または審判を申し立てます。
その時も「子どもの利益」で判断するんですか?
その通りです。子どもの健康面や環境面、愛情、年齢などを考慮しますし、子どもが満15歳以上の場合は、裁判所は子どもの意見を聞かなければなりません。
Q5. もし、親権者が亡くなったら、自動的にもう一方が親権者になりますか?
(小声で)不謹慎ですが、もし相手が親権者になって、その相手が亡くなったら…私が自動的に親権者に戻りますよね?
いいえ、自動的にはなりません。
また違うんですか!?
はい。その場合、「 未成年後見人 」が選ばれることになります。もしDさんが「自分が次の親権者になりたい」と希望する場合は、家庭裁判所に「親権者変更の申立て」をする必要があります。
Q6. 「親権」は譲っても、「子どもを引き取る」方法があるって本当ですか?
うーん、親権でモメて離婚できないのが一番困るんですが…。
「親権は相手に譲るけど、子どもは私が育てる」なんて、そんなウマい話ありますか?
Dさん、よく勉強してますね。それが「監護権者(かんごけんじゃ)」を分ける、という方法です。
カンゴケンシャ?
はい。Q1で話した親権のうち、「財産管理権(=親権者)」と「身上監護権(=監護権者)」を、父と母で別々に持つことも可能です。
つまり、親権者は相手(父)だけど、実際に子どもを引き取って育てるのはDさん(母)という形です。ただ、通常は親権者が両方を持つのが一般的なので、分ける場合はしっかり取り決める必要があります。
Q7.親権者になれなかった親には、何の権利も残らないんですか?
もし私が子どもを引き取れなかったら…もう「親」じゃなくなっちゃうんでしょうか…?
そんなことはありません。
親権・監護権がなくても、親子であることに変わりはありません。
ですから、
- 扶養義務(養育費を支払う義務、または受け取る権利)
- 面会交流権
- 相続権(親が亡くなれば子どもが、子が亡くなれば親が相続する権利)
これらはなくなりません。
よかった。子どもにも会えるんですね。
はい、それが「面会交流(めんかいこうりゅう)」です。
親権でお悩みですか?
- 「親権と監護権、どちらを取るべき?」
- 「子どもの名字を、どうやって変更するの?」
親権は、離婚条件の中でも最も感情的になりやすく、複雑な問題です。
大人の事情だけでなく、お子様の年齢や意思、将来の環境を第一に考え、何が最善かを冷静に判断する必要があります。
どう決めればよいか迷ったら、すぐに弁護士にご相談ください。
