【弁護士に聞く!】「共同親権」って何? 私たちにも関係ある? Q&A
「ニュースで見たけど、離婚しても縁が切れなくなるの?」
「DVが原因でも、別れた相手と関わらないといけないの?」
「すでに離婚している場合はどうなる?」
令和6年、民法が改正され、日本でも導入が決まった「離婚後共同親権」。
ニュースではよく聞くけれど、「実際、自分たちにはどう影響するのか」「いつから始まるのか」と不安なDさん。 今回は、この新しい「共同親権」の仕組みや注意点について、O弁護士に詳しく聞いてみます。
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Dさん:
ニュースを見て不安がいっぱい。「別れた相手と関わりたくない」のが本音。 -
O弁護士:
法律のプロ。改正法のポイントと、現実的な運用の見通しを解説する。
Q1.ニュースで見る「共同親権」。これまでの「単独親権」と何が違うの?
先生、最近ニュースで「共同親権」って聞きますけど、これはいったい何ですか?
はい。これまで日本では、離婚後は父母のどちらか一方だけを親権者とする「単独親権」しか選べませんでした。
これが改正によって、離婚後も父母双方が親権を持つ「共同親権」を選べるようになります。
双方が持つってことは、離婚しても「二人で子育てする」ってことですか?
イメージとしてはそうです。ただし、「物理的に半分ずつ世話をする」という意味ではありません。
離れて暮らしていても、子どもの進学先や手術の同意など、「子どもの人生に関わる重要な決定」を二人で話し合って決める、という形ですね。
Q2. これからは、絶対に「共同親権」にしないとダメなんですか?
それが一番心配なんです!
離婚するくらいだから、もう顔も合わせたくないのに…。強制的に「共同親権」なんですか?
いいえ、安心してください。強制ではありません。
基本的には、
まずご夫婦の「話し合い(協議)」
で決めます。お二人が「単独親権がいいね」と合意すれば、これまで通り単独親権にすることができます。
あ、選べるんですね!でも、もし話し合いがまとまらなかったら?
話し合いで決まらない場合は、家庭裁判所が判断することになります。
裁判所が「この家族の場合は、共同で関わった方が子どものためになる」と判断すれば共同親権に、「いや、単独の方がいい」と判断すれば単独親権になります。
Q3.もし、DV(暴力)を受けていても、共同親権になってしまうの?
でも、もし相手がDVをする人だったら?裁判所が「共同親権にしなさい」って言ったら、逃げられないじゃないですか…。
そこは法改正でも特に重要視された点です。 もしDVや虐待がある場合、裁判所は必ず「単独親権」にしなければならないというルールになりました。
必ず、ですか?
はい。子どもの心身に害が及ぶおそれがある場合や、DVで父母が対等に話し合えない場合は、共同親権は認められません。被害を受けている親子の安全を守る仕組みは確保されています。
「共同親権」になると、何を決める時にも相手の許可がいるんですか?
もし共同親権になったとして…。例えば「明日、子どもに予防接種受けさせたい」とかって時も、いちいち別れた相手に連絡してハンコをもらうんですか? それだと生活が回らない気が…。
いい質問ですね。全てのことに合意が必要なわけではありません。法律では、以下の3つに整理されました。
- 重要な決定(共同で行使)
- 進学、転居、長期の入院・手術など。これらは話し合いが必要です。
- 日常の行為(単独でOK)
- 毎日の食事、習い事の日程、軽い怪我の治療など。これは同居している親だけで決められます。
- 急迫の事情(単独でOK)
- 緊急手術が必要な場合や、DVから避難するための転居など。これらも単独で判断できます。
なるほど。「日常のこと」や「緊急時」は、いちいち連絡しなくていいんですね。
Q5.親権争いが長引くと、その間はずっと離婚できないんですか?
親権の話でモメて、「お互い一歩も引かない」ってなったらどうなりますか?親権が決まるまで何年も離婚できず、籍も抜けないまま…なんて嫌なんですが。
そこが今回の法改正の非常に大きな変更点です。結論から言うと、「親権が決着していなくても、先に離婚届が出せる」ようになります。
えっ、本当ですか!? 今までは離婚届の「親権者欄」を埋めないと受理されなかったですよね?
よくご存じですね。そう、これまでは親権が決まらないと一歩も進めませんでした。
しかし改正後は、「親権者を決めるための話し合い(調停・審判)を裁判所に申し立てている」という状態であれば、親権が決着する前でも離婚届が受理されるようになります。
これにより、親権争いが原因で何年も離婚できないという「膠着(こうちゃく)状態」が解消されると期待されています。
Q6.すでに離婚していても、後から「共同親権」に変更させられますか?
もう一つ気になるのが…私の友人は「すでに離婚している」んですが、元配偶者から「法律が変わったから親権をよこせ」って言われないか心配していて。
実は、この法律はすでに離婚している夫婦にも適用されます。
えっ! じゃあ、後から変更される可能性があるんですか?
はい。施行日以降に、元配偶者が「親権者を共同に変更したい」と家庭裁判所に申し立てることは可能です。
ただし、自動的に変わるわけではありません。裁判所が「今の子どもの生活状況」や「過去の経緯」を見て、「変更することが子どもの利益になるか」を慎重に判断します。無理やりひっくり返されるわけではないので、過度に恐れる必要はありませんよ。
Q7.そもそも、いつからこの法律はスタートするんですか?
まだ始まってないんですよね? いつからなんですか?
はい、施行日は令和8年4月1日です。
令和8年の4月1日…。あと少しですね。今まさに離婚協議中の人はどうなるんですか?
その日までは現在の「単独親権のみ」のルールが適用されます。
ただ、施行日以降になれば、先ほどお話ししたように「共同親権への変更」を申し立てることが可能になります。
ですので、今離婚協議をする場合も、「令和8年4月以降、共同親権にする可能性があるか」を見据えて話し合うケースが増えてくるでしょう。
Q8.結局、共同親権と単独親権、どっちがいいんですか?
話を聞いていると、どっちがいいのか分からなくなってきました…。
正解は一つではありません。
「両親が協力して子育てに関わること」がプラスになるご家庭もあれば、対立が激しく「きっぱり分けた方(単独親権)」が子どもが安定する場合もあります。
大切なのは、親の勝ち負けではなく、「自分たちの子どもにとって、どちらが笑顔で過ごせる形か」という視点です。
もし迷ったらどうすればいいですか?
新しい制度なので、ネット上の情報も錯綜しています。ご自身の状況でどうすべきか迷ったら、施行前であっても弁護士に相談してください。
共同親権について疑問、不安はありませんか?
- 「うちはDV気味だったけど、大丈夫?」
- 「今まさに協議中だけど、どう決着させるべき?」
共同親権の導入により、離婚の話し合いはこれまで以上に専門的な知識が必要になります。 法律が施行される前でも、準備できることはあります。
お子様の将来のために、まずは一度、専門家である弁護士にご相談ください。
