調停離婚

調停離婚は、家庭裁判所における夫婦関係調整調停で離婚するものです。話し合いによる離婚(協議離婚)がうまくいかなかった場合には、家庭裁判所に夫婦関係調整調停(離婚調停)の申立てをすることができます。

夫婦関係調整調停は、相手が離婚に応じてくれない場合以外にも、

  • 離婚にともなう親権財産分与慰謝料などの条件面で折り合いがつかない。
  • 夫婦関係を円満な状況に戻したい。
などの場合でも申立てをすることができます。

特殊なケースを除いて、離婚訴訟(離婚裁判)の前には離婚調停をしなければなりません(調停前置主義)。離婚調停でも離婚の話し合いがうまくいかなかった場合は、離婚訴訟(裁判離婚を求める手続)になる可能性が高くなります。

裁判離婚(判決離婚・和解離婚)についてはこちらをご覧下さい。

調停離婚手続のながれ
婚姻費用分担調停と面会交流調停
調停離婚のマメ知識
  1. 調停離婚にかかる費用と期間は?
  2. 調停の成立にも色々ある
  3. 調停成立後、やっぱり内容に不満がある
  4. 結論を裁判所にゆだねることができる
  5. 個人出頭主義
  6. 調停前の仮の処分
調停離婚を弁護士に依頼する

調停離婚手続のながれ

  1. 家庭裁判所へ調停の申立て

    相手方の住所地の家庭裁判所または夫婦が合意して決めた家庭裁判所に、夫婦関係調整調停申立書を提出する

  2. 家庭裁判所からの呼び出し

    裁判所で調停の期日(日にち)が決められ、調停の相手方に調停期日呼出状が届く

  3. 初回の調停

    家事審判官(裁判官)1名と調停委員(2名)が、申立人と相手方の話し合いに加わり仲裁をする。夫婦別々の控え室に通され、申立人→相手方→申立人の順に話をする

  4. 2回目以降の調停

    調停は月1回くらいのペースで、何度か開かれる

  5. 調停の終了

    調停の終了方法には以下の3つがある

    • 成立
      調停による話し合いで双方が合意し、調停委員が離婚するのが妥当と認めた場合、調停が成立する
    • 不調
      調停での話し合いでは解決しそうになく、裁判所が調停を長引かせても無意味であると判断した場合、調停は不成立となる。裁判官が双方の意見をまとめ不調調書を作成する
    • 取り下げ
      申立人が調停を取り下げたければ、いつでも取り下げることができる。裁判所へ取下書を提出する。相手方の同意・取り下げ理由は不要

  6. 調停成立の場合:離婚成立

    裁判所によって調停調書が作成される。調停成立と同時に離婚も成立する

  7. 離婚届提出

    調停成立後10日以内調停調書謄本とともに離婚届を市区町村役場へ提出する。この場合、離婚届に相手方の署名捺印は必要ない

婚姻費用分担調停と面会交流調停

狭い意味での離婚調停とは、夫婦関係調整調停、つまり離婚するかどうか、離婚条件をどうするかを決める調停です。ただ、実際には夫婦関係調整調停とともに、婚姻費用分担調停や面会交流調停が行われることが多くあります。

婚姻費用分担調停や面会交流調停が夫婦関係調整調停と別の手続で行われるのは、婚姻費用は離婚が成立するまでの生活費なので離婚成立前に決めるべきですし、面会交流も離婚成立前に決めることが望ましいことだからです。

婚姻費用分担調停

婚姻費用分担調停とは、離婚が成立するまでの生活費を求める調停です。多くの場合、別居した妻が夫に対して申し立てをします。また、夫婦関係調整調停は申立てずに、婚姻費用分担調停だけを申立てることも多くあります。

婚姻費用の額は、婚姻費用算定表によって決まることが通常ですが、住宅ローンの負担がある場合、私学の学費を負担している場合等については、一筋縄でいかないことも多く、調停が決裂することも珍しくありません。

調停が決裂して不調ということになると、裁判官が審判によって判断します。

面会交流調停

面会交流とは、別居している子どもと会うことを求める調停です。多くの場合、子どもと別居している親が、子どもと同居している親に対して申し立てをします。離婚を望んでいるわけではない場合には、夫婦関係調整調停は申立てずに、面会交流調停だけを申し立てることもあります。

面会交流について話し合いがつかない場合は、調停は不調となり、婚姻費用分担調停と同様に裁判官が審判で判断します。

手続がばらばらになることも

多くの場合、離婚調停と婚姻費用分担調停と面会交流調停は、一緒に行われます。

ただ、離婚調停が不調の場合、次の手続は離婚訴訟になりますが、婚姻費用分担調停と面会交流調停は審判になります。また、それぞれの調停が別個に決裂したり、継続したりします。

そのため、離婚調停を続けながら、婚姻費用の件は審判になる、離婚訴訟をしながら、面会交流の調停を続ける等ということも珍しくありません。

調停離婚のマメ知識

調停離婚にかかる期間と費用は?

調停にかかる期間は、話し合いの内容によっても異なりますが、だいたい3ヶ月~6ヶ月程度です。また調停にかかる費用は以下のとおりです。

  • 印紙代(1,200円・横浜家庭裁判所の場合)
  • 書面郵送のための郵便切手(裁判所により異なる)
  • 弁護士に依頼する場合は弁護士費用
調停の成立にもいろいろある

”調停が成立する=離婚”というわけではありません。話し合いの結果、夫婦にとってもっともふさわしいと思われる解決策が導き出されるのです。具体的には以下のとおりです。

  • 離婚はせず今後も夫婦として生活する
  • 離婚をする
  • 離婚はせず冷却期間をおくためにしばらく別居をする
  • 将来離婚はする予定ではあるが、当面は離婚せず生活費・婚姻費用などを分担する
調停成立後、やっぱり内容に不服がある

調停成立後、不服申立てはできません。合意できない点や疑問点がある場合は、調停内で納得できるまで話し合いをしましょう。

結論を裁判所にゆだねることができる

調停離婚は、双方の合意により成立する場合以外に、裁判所から審判がくだされる場合があります。この方法で離婚することを審判離婚といいます。ただ審判離婚はあまり数の多くないケースです。審判がくだされるのは以下のような場合に限られていると言っていいでしょう。

  • 双方が調停案にはほぼ合意しているが、一部に限って合意できずに調停不成立になった場合
  • 双方が調停案に合意はしているが、なんらかの事情により(病気等)どちらかが裁判所へ出頭できない場合
  • 調停案に合意しない理由が感情的なものである場合
  • 早急に結論を出した方がいいとみなされた場合(親権争い等)
  • 双方が審判離婚を求めた場合
個人出頭主義

本人がどうしても裁判所に出頭できない場合には、弁護士がその代理人として出頭することができますが、弁護士以外の代理人が出頭する場合は代理人許可申請を裁判所に提出し許可をもらわなければなりません。

親族は許可が出る場合が多いです。調停の内容が金銭問題に限られている場合や、本人が病気などでどうしても出頭できない場合は、代理人だけが出頭することも許されますが、原則としては本人と代理人がそろって出頭しなければなりません。

また調停成立の際は必ず本人が出頭しなければなりません。

調停前の仮の処分

調停の申立てから成立までの期間、相手方が財産を隠したり処分したりするのを防ぐために、調停委員から命じられる処分のことです。この処分は調停委員会の独断で命じられますが、調停前の仮の処分の申立書を提出して職権発動を促すことも可能です。

調停離婚を弁護士に依頼する

夫婦関係調整調停申立書その他書類の書き方を教えてほしい

調停委員が相手の味方ばかりするので助けてほしい

調停委員に自分の主張をはっきりと言える自信がないので一緒に調停に行ってほしい

相手が調停に弁護士を連れてきた 自分ひとりでは不安

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