裁判離婚(判決離婚・和解離婚)

裁判離婚(判決離婚・和解離婚)は、協議離婚調停離婚すべてが成立しなかった場合、離婚訴訟を起こし、裁判所が判決をくだします。離婚裁判を起こすには、法的に認められた離婚の理由(「法定離婚事由)がなければなりません。
※ 法定離婚事由ついてはこちらをご覧下さい。

裁判離婚手続のながれ

  1. 訴訟提起
  2. 訴状を作成し、夫婦どちらかの住所血を管轄する家庭裁判所へ提出して訴訟を提起する

  3. 家庭裁判所からの呼び出し
  4. 裁判所で裁判の期日(日にち)が決められ、相手方(被告)に口頭弁論期日呼出状が届く。被告には、原告が裁判所へ提出した訴状の副本(うつし)が届く。被告は訴訟を起こした人(原告)が作成した訴状を見て、それに対する反論の書類(答弁書)を作成する

  5. 初回の口頭弁論
  6. 訴状(原告作成)、答弁書(被告作成)の内容を確認し、裁判所が問題点を整理して、夫婦(原告と被告)それぞれに反論があれば書面(準備書面)にまとめて提出するように指導する

  7. 2回目以降の口頭弁論
  8. 口頭弁論は、おおむね月1回のペースで開かれ、双方の主張を出し合う。原告・被告が作成した準備書面の内容を確認し、食い違いがある点について証拠を調べる。証拠には以下がある。

    • 書証(書類や資料)
    • 人証(本人尋問や証人尋問等)
    • 本人尋問のながれ(一例です)
      原告本人尋問
      ↓主尋問(原告側の弁護士から原告へ質問する)
      ↓反対尋問(被告側の弁護士から原告へ質問する)
      ↓裁判官からの質問
      被告本人尋問
      ↓主尋問(被告側の弁護士から被告へ質問する)
      ↓反対尋問(原告側の弁護士から被告へ質問する)
      ↓裁判官からの質問
      尋問手続終了

      本人尋問の前に、あらかじめ陳述書(結婚生活についてや離婚に至る経緯などをまとめたもの)を作成し、その陳述書をもとに尋問を行うことが多い

  9. 裁判の終了
  10. 裁判の終了方法には以下の2つがある

    • 判決
    • 原告の離婚請求を認めるか、棄却するのかを裁判所が決定する。

    • 和解
    • 原告と被告が、判決まではせずに、話し合いで解決しようという結論に至った場合、または裁判官が話し合いで解決すべきと判断した場合、裁判官が仲介役となって話し合いをすすめ、双方が納得できる解決策がみつかったら、和解成立となる。

  11. 判決確定、または和解成立の場合:離婚成立
  12. 判決で決着した場合、判決書が送達された日から2週間以内に控訴しなければ判決が確定する。判決確定と同時に離婚も成立する。原告が判決確定証明申請書を提出し判決確定証明書を受け取る。

    和解で決着した場合、裁判所によって「和解調書」が作成される。と同時に離婚も成立する。

  13. 離婚届提出
  14. 判決で決着した場合、判決確定後10日以内に、判決書謄本」「判決確定証明書」とともに離婚届を市町村役場へ提出する。この場合、離婚届に相手方の署名捺印は必要ない。

    和解で決着した場合、和解成立後10日以内に、「和解調書謄本」とともに離婚届を市町村役場へ提出する。この場合、離婚届に相手方の署名捺印は必要ない。

裁判離婚のマメ知識

裁判離婚にかかる費用は?

離婚裁判にかかる費用は以下のとおりです。

  • 印紙代(13,000円~)
  • 書面郵送のための郵便切手(裁判所により異なる)
  • 弁護士に依頼する場合は弁護士費用
判決の内容は?

離婚を認容する判決の場合、判決の内容は以下のようなものになります。

  • 離婚を命じる
  • 未成年者の親権
  • 養育費、財産分与、年金分割、慰謝料等
裁判は他人が傍聴できるの?

離婚裁判は基本的に、すべて一般人が傍聴可能ですが、実際のところ傍聴する人はほとんどいません。また例外的に裁判を非公開にする場合もあります。

判決の内容に不服がある場合はどうしたらいいの?

判決に不服がある場合、判決書が送達された日から2週間以内に高等裁判所へ控訴すると、控訴した側が控訴人・控訴された側が被控訴人となって裁判が行われます。裁判のながれは以下のようになります。

訴えの提起 口頭弁論 判決
その他、離婚裁判のQ&A

裁判離婚を弁護士に依頼する

離婚裁判は、書面の作成や証拠集め等、素人には困難な内容も多々出てきます。離婚裁判をお考えの場合、または離婚裁判を起こされてしまった場合は、弁護士に依頼することをおすすめします。

  • 離婚裁判をしたい/離婚裁判を起こされてしまった
  • 相手が行方不明で離婚調停ができない
  • 離婚調停に相手が出頭してこない

関連条文

民法第770条

(裁判上の離婚)
夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

  1. 配偶者に不貞な行為があったとき。
  2. 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
  3. 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
  4. 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
  5. その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
2 裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。