【弁護士に聞く!】「セックスレス」で離婚できますか?

「浮気や暴力はない。でも、夫婦生活が…」
「これって『性の不一致』?」
「こんなデリケートなこと、他人にどう話せば…」

法定離婚事由について学ぶCさん。
しかし、一番の悩みは「浮気」や「暴力」ではなく、もっとデリケートな問題でした。
意を決して、T弁護士に「性の不一致の問題」について切り出します。

弁護士大倉りえ
この記事を監修した弁護士

弁護士 大倉りえ

大阪事務所所長。
10年以上の経験を活かし、話しやすい雰囲気で丁寧にお話を伺い、納得の解決へ導きます。

登場人物
  • Bさん Bさん:
    非常にデリケートな悩みを抱えており、これを理由にできるか不安。
  • 弁護士 T弁護士:
    法律のプロ。性の問題が法律でどう扱われるか、難しさも含めて解説する。

Q1. (すごく聞きにくいんですが…)セックスレスは離婚理由になりますか?

Cさん

(意を決して)先生、あの…。すごく聞きにくいんですが…。「夜の生活」というか…そういうのが全くないんです。

弁護士

「セックスレス(性の不一致)」ですね。

Cさん

あ、はい、そうです! こういうのって、法的な離婚理由になるんでしょうか?

弁護士

Cさん、勇気を出して話してくださり、ありがとうございます。これは非常にデリケートですが、法律上も重要な問題です。

結論から言うと、「セックスレス」単体で法定離婚事由(「不貞行為」のような)にはなっていません。しかし、法定離婚事由の5番目、「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」にあたる可能性はあります。

Cさん

可能性がある、というだけ…?

弁護士

はい。最高裁判所も「婚姻の本質は、精神的・肉体的な結合だ」と言っていますので、セックスレスが、法的に重要な問題であることは間違いありません。

Q2. なぜ「可能性がある」と、ハッキリしないんですか?

Cさん

浮気(不貞)はダメ、暴力もダメ。じゃあセックスレスもダメ!って、ハッキリ決まらないんですか?

弁護士

それが…この分野は、個人の価値観が大きく影響しがちな分野でして。

Cさん

え、裁判官次第ってことですか!?

弁護士

極端に言えば、そうなってしまう可能性もあります。証拠が明確な浮気と違い、性の問題は非常にプライベートでデリケートです。そのため、弁護士としても「これは見通しを立てにくい分野です」と正直にお伝えするしかありません。

Q3. 裁判で「離婚理由」として認められやすいケースは?

Cさん

それでも、裁判で「これは重大だ」と認めてもらうには、どういう状況が必要ですか?

弁護士

最も重要なのは、「正当な理由がないのに、継続的に拒否されている」という事実です。

Cさん

正当な理由がない拒否…。

弁護士

はい。例えば、一方が求めているのに、健康上も問題ないのに、明確な理由なく拒否され続けている、というケースですね。
また、「セックスレスの解消に向けて、こちらが真剣に努力したか」(話し合いを求めた等)といった要素も考慮される可能性があります。

Q4. 逆に、離婚理由になりにくいケースは?

Cさん

逆に、これだと「理由にならない」ってケースは?

弁護士

例えば、夫婦双方の同意のもとに「もう、こういうのはやめよう」と合意して、その状況が長期間続いているような場合ですね。

Cさん

「お互い様」みたいな感じだと、ダメなんですね。

弁護士

そうです。「それをお互い受け入れて長年やってきたのに、今さらそれが理由ですか?」と判断されてしまう可能性があります。

Q5. セックスレス「だけ」だと、裁判では弱いですか?

Cさん

うーん…「拒否」とまでは言えないけど、なんとなく無くなった、みたいな感じで…。それだけだと裁判では弱いですか?

弁護士

正直に申し上げて、セックスレス単独で「婚姻を継続しがたい重大な事由」と認めてもらうのは、ハードルが高い場合もあります。

Cさん

やっぱり…。

弁護士

しかし、です。セックスレスという事実に加えて、

  • すでに長期間別居している
  • 他にも離婚原因(浪費癖、モラハラ、家族との不和など)がある
  • 日常の会話も全くない

こういった他の事実とあわせて考えることで、「それら全部を総合すれば、婚姻を継続し難い重大な事由があると言えますね」と、裁判官に認めてもらえる可能性は高まります。

Q6. (とはいえ…)法律相談で話しにくいです…

Cさん

今日、先生に話すだけでもすごく勇気が要りました…。

弁護士

よく分かります。性の問題は、法律相談の中でも最も話しにくい部分の一つです。もし、私(弁護士)が異性で話しにくいと感じたら、同性の弁護士を指名して相談するのも、全く恥ずかしいことではありませんよ。

セックスレスでお悩みですか?

  • 「こんな理由で相談してもいいんだろうか…」
  • 「相手が拒否している証拠なんて、どう取れば?」
  • 「他の理由と合わせて、離婚を主張できる?」

セックスレスや性の不一致は、ご夫婦にとって非常に深刻な問題です。
それが法的にどのような意味を持つのか、どうすれば主張が認められやすくなるのか、専門家は冷静に分析します。
多くの弁護士は、こうしたデリケートなご相談(もちろん、男性側・女性側問わず)にも真摯に対応しています。

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