【弁護士に聞く!】「セックスレス」で離婚できますか?
「浮気や暴力はない。でも、夫婦生活が…」
「これって『性の不一致』?」
「こんなデリケートなこと、他人にどう話せば…」
法定離婚事由について学ぶCさん。
しかし、一番の悩みは「浮気」や「暴力」ではなく、もっとデリケートな問題でした。
意を決して、T弁護士に「性の不一致の問題」について切り出します。
Bさん:
非常にデリケートな悩みを抱えており、これを理由にできるか不安。T弁護士:
法律のプロ。性の問題が法律でどう扱われるか、難しさも含めて解説する。
Q1. (すごく聞きにくいんですが…)セックスレスは離婚理由になりますか?
(意を決して)先生、あの…。すごく聞きにくいんですが…。「夜の生活」というか…そういうのが全くないんです。
「セックスレス(性の不一致)」ですね。
あ、はい、そうです! こういうのって、法的な離婚理由になるんでしょうか?
Cさん、勇気を出して話してくださり、ありがとうございます。これは非常にデリケートですが、法律上も重要な問題です。
結論から言うと、「セックスレス」単体で法定離婚事由(「不貞行為」のような)にはなっていません。しかし、法定離婚事由の5番目、「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」にあたる可能性はあります。
可能性がある、というだけ…?
はい。最高裁判所も「婚姻の本質は、精神的・肉体的な結合だ」と言っていますので、セックスレスが、法的に重要な問題であることは間違いありません。
Q2. なぜ「可能性がある」と、ハッキリしないんですか?
浮気(不貞)はダメ、暴力もダメ。じゃあセックスレスもダメ!って、ハッキリ決まらないんですか?
それが…この分野は、個人の価値観が大きく影響しがちな分野でして。
え、裁判官次第ってことですか!?
極端に言えば、そうなってしまう可能性もあります。証拠が明確な浮気と違い、性の問題は非常にプライベートでデリケートです。そのため、弁護士としても「これは見通しを立てにくい分野です」と正直にお伝えするしかありません。
Q3. 裁判で「離婚理由」として認められやすいケースは?
それでも、裁判で「これは重大だ」と認めてもらうには、どういう状況が必要ですか?
最も重要なのは、「正当な理由がないのに、継続的に拒否されている」という事実です。
正当な理由がない拒否…。
はい。例えば、一方が求めているのに、健康上も問題ないのに、明確な理由なく拒否され続けている、というケースですね。
また、「セックスレスの解消に向けて、こちらが真剣に努力したか」(話し合いを求めた等)といった要素も考慮される可能性があります。
Q4. 逆に、離婚理由になりにくいケースは?
逆に、これだと「理由にならない」ってケースは?
例えば、夫婦双方の同意のもとに「もう、こういうのはやめよう」と合意して、その状況が長期間続いているような場合ですね。
「お互い様」みたいな感じだと、ダメなんですね。
そうです。「それをお互い受け入れて長年やってきたのに、今さらそれが理由ですか?」と判断されてしまう可能性があります。
Q5. セックスレス「だけ」だと、裁判では弱いですか?
うーん…「拒否」とまでは言えないけど、なんとなく無くなった、みたいな感じで…。それだけだと裁判では弱いですか?
正直に申し上げて、セックスレス単独で「婚姻を継続しがたい重大な事由」と認めてもらうのは、ハードルが高い場合もあります。
やっぱり…。
しかし、です。セックスレスという事実に加えて、
- すでに長期間別居している
- 他にも離婚原因(浪費癖、モラハラ、家族との不和など)がある
- 日常の会話も全くない
こういった他の事実とあわせて考えることで、「それら全部を総合すれば、婚姻を継続し難い重大な事由があると言えますね」と、裁判官に認めてもらえる可能性は高まります。
Q6. (とはいえ…)法律相談で話しにくいです…
今日、先生に話すだけでもすごく勇気が要りました…。
よく分かります。性の問題は、法律相談の中でも最も話しにくい部分の一つです。もし、私(弁護士)が異性で話しにくいと感じたら、同性の弁護士を指名して相談するのも、全く恥ずかしいことではありませんよ。
セックスレスでお悩みですか?
- 「こんな理由で相談してもいいんだろうか…」
- 「相手が拒否している証拠なんて、どう取れば?」
- 「他の理由と合わせて、離婚を主張できる?」
セックスレスや性の不一致は、ご夫婦にとって非常に深刻な問題です。
それが法的にどのような意味を持つのか、どうすれば主張が認められやすくなるのか、専門家は冷静に分析します。
多くの弁護士は、こうしたデリケートなご相談(もちろん、男性側・女性側問わず)にも真摯に対応しています。
安心してご相談ください。
