財産分与

財産分与とは、結婚生活中に夫婦で協力して築いた財産を離婚に際して清算することです。夫が外で働き、妻が専業主婦の場合、妻が直接稼いでいないからといって、財産分与がないということはありません。夫名義の財産でも夫婦生活の中で築き上げた財産は「夫婦共有の財産」とされ、清算の対象となります。

また、財産分与は有責配偶者(離婚原因を作った側)であっても請求できます。

財産分与の対象となる財産

  1. 不動産(住宅 等)
  2. 住宅ローンの残額は差し引いて計算します

  3. 預貯金等
  4. 有価証券、投資信託、会員権等
  5. 生命保険の解約返戻金なども含まれます

  6. その他絵画や骨董品など高価なもの
  7. 家具・家電などはあまり価値はないとされます

  8. 退職金、退職年金
  9. 一昔前までは、支給の可能性を考慮して、財産分与の対象から外すこともあったようですが、最近は、財産分与の対象になると判断されることが多いようです

財産分与の対象とならない財産

夫婦それぞれの固有の財産(特定財産)は財産分与の対象外となります。

  • 結婚前に貯めていた預貯金
  • 結婚の際実家からもってきた財産
  • 結婚中の自分の親や兄弟が死亡したことによって得た相続財産

扶養的財産分与

「扶養的財産分与」とは、離婚によって生活の不安をきたす側を扶養するための財産分与です。

たとえば結婚中に専業主婦だった妻が離婚すると、収入源を失い、生活の不安定を招くおそれがあります。こういった場合、「妻が結婚中職を持たなかったのは、家事労働に専念して夫の収入の安定をはかったためであるから、離婚後自分で生活していく能力を回復するまでの間、夫は離婚した妻の生活を保障するのが公平である」という考えのもと「扶養的財産分与」が例外的に認められることがあります。

「扶養的財産分与」は、あくまで”自分で生活していく能力を回復するまで”とされ、 期間も一定期間(3年または5年など)に限定され、金額も生活費の一部の支給に限定される場合が多いです。

財産分与の割合

それぞれ2分の1ずつとされることが多い(2分の1ルール)ですが、個別の事情により2分の1ずつとならない場合もあります。

財産分与の例

共働きで、財産分与が夫婦それぞれ2分の1ずつであった場合、ローンの残っている不動産の財産分与は以下のように計算されます。

不動産と預貯金がある場合

(注)名義変更の確認を忘れないようにしてください。不動産の分与を受ける場合は、必ず名義変更をしなければなりません。不動産の権利は、登記の手続をしてはじめて確実なものとなります。

関連条文

民法第768条

(財産分与)
協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。
2 前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、離婚の時から二年を経過したときは、この限りでない。
3 前項の場合には、家庭裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める。