特集!内縁関係解消

内縁の妻(夫)にだって権利はある!

内縁(事実婚)の解消は、いわゆる離婚とは違い、法的手続は必要ありません。

しかし内縁解消にともなう財産的処置(慰謝料・財産分与・養育費 等)については、法律上、基本的に離婚に準じて扱われ、話し合いがうまくいかない場合は調停や裁判の申立てをすることもできます。ここでは内縁関係に関する基礎知識を、弁護士 西 雄一郎がご紹介します。

そもそも”内縁(事実婚)”ってどんなもの?

内縁(事実婚)とは、婚姻届を出してはいないものの、男女それぞれに結婚の意思があり、実際に夫婦生活を営んでいる男女の関係のことをいいます。

現在内縁は、法律婚(婚姻届を提出し、法的に結婚を認めさせること)に準ずるものとして保護されています。内縁の夫婦には「同居義務」「協力義務」「扶助義務」「貞操義務」が課せられます。

また内縁解消の際は、「財産分与」「慰謝料請求」「養育費請求(子どもが認知されていれば)などの権利も認められています。

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 ”内縁(事実婚)”と”法律婚”の違いは?

上記のように内縁は法律でもその立場を認められています。ただ、法律婚とは違う点もいくつかあります。

  • 内縁の夫または妻の名字は変わりません。
  • 内縁の夫婦間に生まれた子どもの親権は、原則として母親の単独親権となります。
  • 相手に対する相続権がありません。

 ”重婚的内縁”ってなに?

内縁のなかでも、男女どちらか一方または双方に法律上の配偶者がいるために、婚姻届を出していない男女を「重婚的内縁」といいます。「重婚的内縁」の場合は、法律婚に準じて保護されるというわけにはいきません。裁判所としては「妻(または夫)がいるのに、そちらを放置して他の女性(または男性)と暮らすことは不法行為である。不法行為をしている人を法律は保護しない。」というのが基本的な考え方です。

ただ場合によっては、通常の法律婚や内縁のように、慰謝料請求や財産分与等の権利が認められることもあります。「自分の場合はどうなんだろう?」とお悩みの方は、一度ご相談にいらしてみてください。

法律婚で生まれた子どもとはちょっと違う・・・内縁の夫婦間の子ども

内縁の夫婦間の子どもは、法律上、法律婚で生まれた子どもとは違う点がいくつかあります。その主なものをここでご紹介します。

  1. 親権

    内縁の夫婦間に生まれた子どもは、原則として母親の単独親権となります。子どもは母親の戸籍に入り、父親と子どもは戸籍上、何ら関係がないということになります。父親が子どもを認知することではじめて父親と子どもの間に親子関係が成立することとなります。ただそれでも子どもは父親の“非嫡出子”となるだけで、父親の戸籍に入るわけではありません。裁判所に届出をすれば単独親権を母親から父親にかえることはできますが、父母の共同親権にすることはできません。

  2. 姓(苗字)

    内縁の夫婦間に生まれた子どもは、原則として母親の戸籍に入りますが、家庭裁判所に届出することで、父親の戸籍に入り、父親の名字を名乗ることが出来るようになります。

  3. 養育費

    内縁の夫が子どもを認知すれば、父親と子どもの間に親子関係が成立することになり、父親は子どもに対して、通常の親子関係同様“扶養義務”が発生します。内縁の夫が子どもを認知した以降は、子どもの出生までさかのぼって養育費を請求することができます。内縁の子どもの認知の問題や、養育費の問題が内縁の夫婦間の話し合いでまとまらなかった場合は、裁判所に養育費請求の調停の申立てをすることもできます。

  4. 相続権

    内縁の夫婦間に生まれた子どもはたとえ父親が認知しても“非嫡出”ということになります。以前は、嫡出子と非嫡出子の相続分に差がありましたが、最高裁判所の判断と法改正により、現在では差がなくなっています。

泣き寝入りは無用!内縁解消とお金の問題

内縁解消に法的手続は必要ありませんが、正当な理由がないのに内縁を解消された場合には相手に対して慰謝料請求することができます。ここでの“正当な理由”の内容は、法律婚において正当な離婚理由として定められている法的離婚事由と同じです。内縁関係解消に際しての財産分与や養育費請求についても法律婚と同様の権利が与えられます。話し合いがうまくいかない場合は、裁判所に調停や裁判の申立てをすることも可能です。

「婚姻届を出していないから・・・」と泣き寝入りすることはありません。内縁解消とお金の問題でお悩みの方は一度ご相談にいらしてみてください。

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